北アルプス全縦走(新穂高温泉~親不知)5日目

5日目行程

白馬岳頂上宿舎→白馬岳→雪倉岳→朝日岳→黒岩山→サワガニ山→白鳥山→坂田峠→親不知観光ホテル
移動距離:約37km
行動時間:約12時間20分(5時20分~17時40分)
コースタイム:22時間50分
天気:ガス、風、大雨、のち晴れ。
短縮率:54.0%

ラストの下り基調な区間。難所が少なかったこともあり、短縮率は全日程において2番目に良い結果となった。
また、コースタイムは22.8時間と一番長い区間でもあった。

出発(白馬岳頂上宿舎)

おはようございます。本日は2016年8月15日。旅5日目です。
今日中に日本海に辿り着けるのか!?

そして昨晩、19時頃一旦は眠りに着いたものの20時頃起きる。
対面から聞こえてくるのは、そう、「いびき」。
山男の猛襲です。
複数人と相部屋になり、その内、いびきの人がいる可能性が仮に1/5だとして、それを一発で引き当ててしまうとは・・。
耳栓なんか焼け石に水。
ipodで音楽を大音量で聴いてなんとかごまかせる程度。
そんなこんなで寝不足気味な朝となりました。
なんだか体の調子も悪く、寒い感じ。やっぱり風邪なのか?

4時から支度開始。
洗面所でコンタクトレンズを入れようとするも、中々入らない。
おかしいな。
良く見ると瞼が腫れている。
こんなことは初めての経験で焦る。
疲れなのか?

色々と準備をしていると朝ご飯の時間=5時となりました。
やはり朝ご飯も頼んでおけば良かったと後悔。
食堂の売店でカロリーメイトを購入。
ふとレジの店員を見ると、昨日テント受付をしていた感じ悪い男!
なんでお前がここにおるねん!
そそくさとその場を離れ、ロビーでカロリーメイトを頬張る。


朝5時20分ごろ出発。
寒かったのでフル装備。
中にはキャプリーン4とドラウトセンサーパンツ。
アウターにトレントフライヤージャケットとバーサライトパンツ。
それから手袋も。
外に出ると雨こそ降っていないものの、ガスが酷く視界不良。
とりあえずは白馬岳を目指します。
そして10分もせずに白馬山荘に到着。
やはりちょっと暑くなったのでドラウトセンサーパンツを脱ぎ、中には短パンという状態に。

白馬岳

よし、白馬岳をさっさと登るぞ!と再出発すると、ついに雨が降り出す。
フードを被りながら登る。


5時51分。
白馬岳頂上に到着!
この旅で5つ目の百名山です。標高2932m。
視界ゼロ。。
また、来いということかな?

雪倉避難小屋


先に進みます。


雷鳥発見!


その後はなだらかなアップダウンを繰り返しました。
ハイカーを一人発見。


ちょっと晴れ間も?


この辺りになれば、行き交うハイカーも少なくなりました。


しばらくは風が強く、小雨といった状況が続きました。
そして雪倉岳手前の避難小屋に到着。
中に入ると一名の男性。同じくらいの年齢かな。
彼は親不知からやってきたそうです。
(ああ、ついに親不知って地名が普通に出てくるようになったんだ・・)。
そして「雪倉岳の風は物凄かったですよ~」と教えてもらう。

しばらくして別の男性ハイカーも中に入ってきました。年上の男性。
色々と会話しながら、朝に仕込んでおいたアルファ米を食べる。3袋目です。
行き先を問われたので、今日は親不知まで一気に駆け抜けると伝える。
すると「そりゃ凄い。まあ、夏だからその辺でバテて寝転がっても死ぬことはないだろうし頑張って(^^)」と激励を受けました。
死ぬことはないだろうって(^^;)

雪倉岳


7時18分。
その後、難なく雪倉岳に到達。
確かに風は強いが、逆に涼しくて良いくらい。いや、ちょっと寒いか。
気になるのは体調。
朝から汗をかいていない。
それに顔の腫れ。

朝日岳


8時20分。
木道を通過。
どことなく、これまでの北アルプスの雰囲気とは異なります。
いよいよ北アルプスも終わりなんだ・・という気持ちに。


8時33分。
朝日岳と朝日小屋への分岐に到着。

どちらに進むか迷いました。
朝日小屋に行けば補給は出来るものの、コースタイムで1時間30分くらい寄り道となります。
今持っている食料は??
・アルファ米1袋と食べかけ半分
・パワージェル2袋
・アーモンド50g程度
・柿の種1袋(昨晩、売店で購入していた。100円。)
・クリフバー1袋
・ムサシNI1袋
ここから一気に親不知まで順調に行ったとしても、あと10時間程度はかかる想定。
ちょっと心もとない量でしたが、朝日小屋には寄らないでそのまま進む判断としました。


9時10分。
朝日岳に到着。標高1870m。
結構、登りました・・・。
もう北アルプスの核心部は通過して大した登りもないだろうと油断していたので、精神的にやられました。
ベンチにどっしり座って休憩。
辺りには誰もいません。

雷鳥と遭遇


朝日岳を後にして下ります。


すると道の脇に雷鳥発見!


先にはチョコチョコと歩く2匹の子供の姿も。
「クエークエー」と、か弱い声で鳴いています。
5日目にして疲労が溜まり天候も悪かった為、気分が萎えていましたが、ちょっと元気を貰えました。
北アルプスから見送ってくれたのかな?
雷鳥バイバイ。

吹上のコル


雪?で凍っていました。
登山道ではなく、ちょっと離れたところ。


9時30分。
吹上のコルに到着。


周辺地図。

黒岩山へ・大雨


9時39分。
吹上のコルから黒岩山までは長い区間。
そしてこの区間を通過している頃から大雨となりました。
雨で補給もままならない状況。
ここに来るまでに暑くなってバーサライトパンツ(雨具下)を脱いで短パンになっていましたが、どんどん寒くなってきました。
しかし、この大雨により着るタイミングを完全に失い、体は冷える一方。失敗した。
早く標高が下がって暑くなれ!と願うばかり。
この辺りで既に標高2000mは切っていました。
(その後、ようやく木陰を見つけてバーサライトパンツを着用する)

これでもか!ってくらい降ってきました。
ゴアテックスの雨具でしたが、ついにはちょっと中が濡れてきましたよ。
足場はドロドロ。
景色はゼロ。
気分は最悪です。独り言で悪態をつくように(笑)
ちょっとでもポジティブに考えることに。

「そうか、北アルプスが俺と別れるのが悲しくて泣いているんだな♪」
「北アルプスちゃん、俺と別れるのが悲しいんだね♪北アルちゃん、略してキタールちゃん♪」
・・・この辺りは疲れもあり、ちょっと頭がイッてしまっていたんだと思います(笑)


10時57分。
ようやく黒岩山に到着。標高1624m。
用意してきた地図は山と高原の地図をA3で5枚に分けてカラーコピーしたものでしたが、ここでついに5枚目に!
そういえばここに来る途中で、黒岩テント場?みたいなキャンプ場がありました。あそこも幕営OKなのかな?
大雨で立ち止まって確認する余裕がなく・・・。

サワガニ山


11時43分。
続けてサワガニ山。標高1612m。
変わった名前の山ですね。ちなみにサワガニは居ませんでしたよ。
なんというか、山と言うより、稜線の途中の展望が開けた場所、って感じでした。


この近辺は稜線歩きが続きました。
小ピークを繰り返す感じ。

北又の水場


12時12分。
北又の水場に到着。
そこにはザックが置かれています。
水場へ向かっているハイカーか。
まだ水に余裕はありましたが、念の為、補給する事に。
10分ほど下ってようやく水場。
そこには先ほどのザックの持ち主と思われる男が一人。久々に人と対面。
「冷たくて美味しいですよ!」と言われ、自分も飲む。
確かに旨い。
ここで、ラストとなるアルファ米に水場の水をセット。

犬ヶ岳・栂海山荘


同じような景色が続きます。
ちょっとしたロープ区間も。
八峰、不帰キレットに比べればこんなの屁でもないと思える自分が。けど舐めてはいけない。


12時34分。
程なくして犬ヶ岳。標高1131m。
途中で年配の女性ハイカーを追い越す。
挨拶するも目が虚ろ。大分疲れきっている様子です。
皆、さっきの雨で疲労困憊なんですね。


12時38分。
栂海山荘に到着。
やはり誰もいない様子。
ここの外トイレはアクロバティックな設計でした!
写真撮っておけば良かったと後悔。

最後のクリフバーを補給。
そうこうしているうちに、先ほどの女性ハイカー到着。
山荘の中へ入って行きました。
鍵、開いてるんですね。


外には沢山のおたまじゃくし。


案内板にはついに「日本海」の文字が!!

白鳥小屋へ


13時14分。
ちょっと進んで黄蓮山。
これ、よく見逃さなかったなと思いました(^^;)


13時26分。
黄蓮の水場。ここでは補給せず。


13時37分。
菊石山。標高1210m。
気付けば普段走っている山の雰囲気に変わっていました。


13時57分。
下駒ヶ岳。標高1241m。
大分下ってきました。
そういえば雨は小雨に変わってきました。
気持にもだいぶ余裕が。


14時47分。
そして最後の山小屋=白鳥小屋に到着。といってもここは無人小屋ですが。
小屋の上に人が3名います。
ああ、あそこの梯子で登るのか。
どれどれと登ってみることに。


上に到着。
そして目の前に広がるのはこれまで見てきた「雲海」ではなく、日本海!!!!!!
流石に周りに人がいたので泣きはしませんでしたが、うるっときました。
ついにその姿を捉える所まで来ました。

一人のおじさんはハイカー。一泊二日の旅をしているそう。
残る二人は地元の方で、沢登りでここまで来たそうです。
別々の地域から別々の目的でやってきた者たちが、今、何かの縁でこの白鳥小屋の屋根上に集結している。
なんだか不思議な空気が流れています。
長かったなー・・・。

シキ割の水場


15時28分。
白鳥小屋を後にして、少し進むとちょっとした沢区間になり、水場がありました。
ただ、水量が少ない。
地図でこの区間は不明瞭とありますが、そんな迷うことはありませんでした。
日本海側から来る方がちょっと分かりにくいかも。沢から抜ける時に。


北又の水場で仕込んでおいたアルファ米を食べる。

坂田峠

すっかり雨は上がりました。
この先、坂田峠までは激下りがしつこいくらいに続きました。
ロープと階段と木の根っこと。しかも雨上がりで滑る。
ここでまた悪態をつくように(笑)


15時58分。
坂田峠に到着。標高は611mです。
下りに下って膝にダメージがきているのが分かります。
だって、今朝は標高2900mにいたのですから。。
ヘナヘナとその場に座り込む。
ちなみに坂田峠はロードと交わる区間です。
数日ぶりにアスファルトを見ました。変な感じです。


坂田峠の案内板。


リスの火事注意喚起の看板。
下には「新潟県」の文字。
いつの間にか新潟県に入っていたようです。

尻高山


その先、穏やかなトレイル区間に変わりました。
空からは木漏れ日が。
「これは・・・」
2014年に参加したUTMF(ウルトラトレイル・マウントフジ)のラストを思い出します。
ここまで頑張ってきた者へのボーナスステージか・・。
ぐっと込み上げてくるものがあります。


16時29分。
尻高山に到着。677m。


足場はドロドロでシューズはご覧の通り。
北アルプスは岩場が多くてソールが削られました。
このアルトラ・ローンピークはこれで最後かも。

虫対策・ハッカ油


16時48分。
尻高山から下って行くと写真の赤い階段。
なんだか夏っぽい。


17時25分。
またまた木漏れ日の区間。
ただ、この辺りから虫が多く身にまとわりついてくるようになりました。
標高の低い山はこれが悩み。
かなりしつこく、また悪態(笑)
ついに立ち止って最終兵器を取り出す。
それは「ハッカ油」。
首筋、耳、おでこに吹きかける。
すると、日焼けの酷い首筋から激痛!!!
「ウォーーー!!!」
脚の筋肉痛に加え、ハッカの激痛も加わりました(TT)
しかも、そんなに虫に効いていない?

親不知へ!


17時33分。
鉄塔を通過。


17時37分。
木の隙間から日本海が見えます。
船が数隻浮かんでいるのも確認出来るまでに。


17時38分。
ちょっと進んでロードと交差。

その先、二本松、入道山を通過。
下りなら小走り出来ますが、登りはもう脚が残っていません。
ちょっとした登りがあると悪態(^^;)
もうだめだ・・こんなに辛いなんて。。許してください・・・と。
いやー、、最後の最後まで、本当にきつかった。


17時41分。
車の走る音が聞こえてきました。
ゴールが近いんだという想いよりも、なんだか「また普段の生活に戻ってしまうのか」という悲しい気持ちの方が強かったのを覚えています。
最後はあっけなく親不知観光ホテルに到着。
そこにはハイカーでもない、一般の観光客と思われる人々が。俺は不審者に見えたかな。
親不知観光ホテルでは日帰り入浴出来るらしいが、、いや、その前に、日本海に触れたい。
道は!?


駐車場の脇に道が続いていました。
「日本海・栂海新道起点」とあります。
・・・よし!


おおおおお、きた、、日本海まで続いている、最後の階段!!
それを下りきると岩がゴロゴロした海辺となりました。
若い観光客が5、6名。
視線が気になりつつも、フィニッシュの儀式へ。
ザック、ポシェットを下ろし、シューズ、靴下を脱ぐ。
うう、足裏が痛む。爪が何枚か剥がれかけているのが分かります。
そうして裸足のまま日本海へ、ダイブ!!!はせずに、足だけ浸かりました。
服が海水で濡れたら後で面倒だと思ったので(^^;)


2016年に初導入された「山の日」の朝6時に新穂高温泉を出発。
5日目の8月15日17時50分、無事、日本海到達となりました。

親不知観光ホテル

十分に日本海を味わった後、親不知観光ホテルへ。
事前の調査では、ここの人が親不知駅の入浴施設まで送ってくれるという書き込みがあったので、それを聞いてみる。
が、もう時間が遅いのでやっていないと。
で、タクシーを呼ぶことになりました。
タクシーは今、糸魚川駅にいるので30分くらいかかると言われました。
その間、受付の人と会話。

どうやらこのホテルは船窪小屋と提携?しているらしく、この受付の人も随分山に詳しい。
待ち時間で入浴していけばどう?という話になりました。
確か1500円と聞いていたのですが、750円で良いと言われました。サービスしてくれたのかな?
5日ぶりに入浴してさっぱり。
風呂からあがってロビーに行くと、丁度タクシーが到着していました。
観光ホテルの人にお礼を言って外へ。

親不知駅へ移動


18時50分。
海沿いの道をタクシーで走ります。
「親不知って何でそんな名前がついているのだろう」
ずっと疑問に思っていたので運転手さんに聞きました。
どうやら、昔はこの国道はなく、人々は下の海岸を行き交っていたそう。
その海辺の道には岩と岩の間に穴が多くあり、そこに子供が隠れてしまうことが多くあったのだとか。
それで親は子供がどこに行ったか知らない~みたいな感じで親不知の地名がついたのだとか。


親不知駅に到着しました。
運賃は1700円程度でした。
時刻は19時前。


自販機でエネルギー系の炭酸飲料を購入して駅のホームへ。
誰も居ません。駅員さんも。


ホームより日本海を眺める。
19時11分、予定通りに電車がやってきました。
そこから二駅で糸魚川駅へ。

糸魚川駅でプチ打ち上げ

糸魚川駅に到着。
明日は予備日なので1泊していきたい気分でしたが、宿泊代の節約と、荷物整理をしたかったのもあり、そのまま帰ることにしました。
さて、ここからは新幹線で大宮駅まで。
終電から一つ前の便に間に合う時間でしたが、ちょっとゆっくりしていくことに。
入ったのは一年前に「塩の道トレイル旅」の最後にも立ち寄った居酒屋「源兵衛」。


19時48分。
これまた一年前と同じブラックやきそばを注文。800円。
主人と奥さんもその雰囲気は変わらず、接客が良いです。
言ってもないのに列車の時刻を気にしてくれます。


終電まであと1時間程度あったので追加注文。
モツ煮込み。500円くらい。


さらに子持ししゃも。400円。


ラストはポテトフライ。400円くらい。
お酒は苦手なので飲まず。
源兵衛は食事だけでも歓迎な居酒屋なので嬉しいですね(^^)
その後、糸魚川駅より新幹線で埼玉の自宅へ・・。

これにて「北アルプス全縦走(新穂高温泉~親不知)」の旅は無事終了です!
最初は天気や難所、また初めての長い山行とあり親不知までいけるか不安でしたが、運も味方につけ日本海まで辿り着くことが出来て一安心です。
また、今回の旅では、いつもある忘れ物が少なかったことも大きいです。一点、白馬岳頂上宿舎の乾燥室に忘れたトランクスのみ!
割とストイックに日本海を目指したので、景色や食事を楽しむ時間は少なかったように思えますが、こういった旅のスタイルもありだと思いました。
これまでの自分の人生の中で最大の旅になったかも。やっぱり山は凄い。
次は南アルプス、中央アルプスにも行ってみたいなー!

「完」

※まとめ編に続きます。