南アルプス縦走(甲斐駒ヶ岳~仙丈岳~塩見岳~荒川岳~赤石岳~聖岳)③

3日目データ

距離:22.0km
累積標高:2103m
行動時間:8時間3分(5時47分~13時50分)
CT:15時間20分
CT比率:52.5%
ルート:三伏峠~荒川岳~赤石岳~百間洞山の家

3日目 朝

2018年8月13日 南アルプス3日目
この日は朝5時出発の予定だったけど、時間に余裕のある行程なので、計画的な寝坊となった。
4時半ごろからガサガサと準備し始める。

今日の目的地である百間洞山の家まではCTで15時間ちょっとなので、ゆっくりでも16時着は余裕。
ちなみに頑張るプランとして聖平小屋まで行くプランも薄ら考えていたが、多分無理。

ああ、そうだ、最近思うこと。
自分の中で山の縦走では朝4時起きをベースに、5時起きだとちょっと遅い、3時で早いなーって感覚。
それで小屋には16時くらいに到着するスケジュール。
そうすると、やはり行動時間が限られてくる。
お尻は山小屋の関係で遅らせることが出来ない。
ってなると、朝起きる時間、もっと早めても良いのかもって。
1時起きで2時スタート、0時起きで1時スタートとか。
山生活での時間感覚って凄い。

三伏峠小屋には鏡がなかったため、コンタクトを入れられず、この日は1日眼鏡となった。
ちなみに今年TJARに参加したボッコ氏は鏡を見なくてもコンタクトレンズを入れられる技術を身につけたとか。
まあ技術ってか、慣れなんだろうけど。

靴はテントの外に置いていたけど、途中、雨に降られたから、ビニール袋に包んでおいた。
けど、どっちみち、泥だらけな感じ。
今回、靴下の替えはなし。履くときだけ、ちょっとためらい、気持ち悪いけど、ちょっとすれば気にならなくなる。
マメが障害になるほど行動するわけでもなし、それで問題ない。
で、5時45分ごろスタート。

三伏峠~小河内岳


スタート後は水場への分岐を通り、お花畑の柵の真ん中を登っていく。


なんとなく体調が悪い。息が上がり、倦怠感。風邪っぽいかも・・。
そもそも初日のスタート時点で、汗のかき方がちょっとおかしかった。
今日も午後から天気が崩れるというし、下山するか迷う。
戻って三伏峠から下山すれば伊那市行きのバスに乗れる。確か9時台の便があったはず。
考えながらもズルズルと進む。


時間に余裕もあるし、ペース掴めるまでのんびり行こう・・・・
と、三伏峠から100mか200mか登って景色の開けたところで、朝に水を忍ばせておいたパスタを食べることにする。
アルファ米に比べると、ツルンとして喉通しが良い。なかなかイケル。
動いているうちになんとなく体調が戻ってきたので、進むことにした。


6時21分
烏帽子岳


富士山見えた


6時47分


7時4分
小河内岳を通過。
小河内岳の避難小屋は尾根から少し寄り道したところにあった。
ちょうど、避難小屋の背景に空が広がり、晴れ間が出ており、雲の隙間からは朝日が差し込み、その奥に富士山が見える。
なかなか幻想的な風景であった。


同じく小河内岳周辺の景色1


同じく小河内岳周辺の景色2

小河内岳~高山裏避難小屋

高山裏避難小屋までの道のりの中で、トレイルが細く、ごつごつした岩が沢山あってトラバースするような道が長く続いた記憶。
かなりストレスがたまった(^^;)


7時28分


8時16分


8時30分ごろ、高山裏避難小屋に到着。
高山裏避難小屋は無人かと思っていたら営業小屋だった。
荒川小屋まで補給は出来ないだろうと思っていたので、得した気分。
初めて訪れる山小屋、どんな「ノリ」の山小屋はわからないので、下手に出て、「カップヌードルは購入可能でしょうか・・?」と聞く。
すると、「そこに書いてあるメニュー、全部大丈夫だよ!」と良い感じの回答を頂く。
で、カップヌードル注文。500円。主人は気さく。TJARに詳しい。


テント場にはTJAR無料休憩所も用意されていた。
ちょうど同じタイミングで到着した女性、その女性はTJAR応援に来たという。しばらくTJARの話題。
あと、主人によると、今日は11時ごろから雨が強く降るとのこと・・。
天気予報でも崩れるとあったけど、山小屋の主人もそういうんじゃ、、やっぱ天気崩れるのかな。
今は快晴!って感じだったので、にわかに信じがたかった。

荒川岳


9時42分


10時9分


10時25分
高山裏避難小屋から登って荒川岳の前岳。
あと、ちょっと寄り道だけど中岳にも登った。
これで百名山・荒川岳を踏んだことになるのか。東岳も踏まないとだめ?よくわからん。
中岳で、自分にしては珍しく、他のハイカーさんに写真を撮ってもらった。思い出にね。


10時51分
荒川小屋が見えてきた。

荒川小屋


11時2分
荒川岳を越えた後、荒川小屋に到着する。
事前の調査で口コミの良かった荒川小屋。
ここで大休憩しようと思っていた。そばを注文。900円くらい。
あと、セルフサービスのドリンクコーナーで、抹茶ラテを頂く。こちらは100円だったか。
トイレも済ませる。
20分くらい?結構停滞してしまったけど、リフレッシュすることが出来た。

荒川小屋を出ようとする頃、小雨。
高山裏避難小屋でも言われていたし、なんとなく本降りになりそうな予感・・・。
モンベルのトレントフライヤーを装着して出発した。

赤石岳

徐々に雲行きが怪しくなる。
ついに赤石岳への登りで横殴りの雨となった。雷が頻繁に光っている。だが、音はあまりしない。
フードを深くかぶった。ここで、ザックカバーを持ってきていないことに気づく。むしろ20L用のザックカバーは持っていなかった。
オススメあれば教えてください。

ザック内びしょ濡れ覚悟。
強い雨と風で前を向けず、地面を見ながらひたすら登る。これは酷い雨だ。
荒川小屋でしっかり補給していたのが救い。


12時45分
赤石岳山頂に着く頃には一旦、雨は収まっていた。

が、下りの途中からまた本降り。痛いくらい雨が降った。
しかし、トレントフライヤー、いい仕事するなーと思った。
雨にだいぶ打たれているけども、中はドライが保たれている感じ。
このトレントフライヤーは割と最近購入したものだし、まだまだ撥水性があるからだろうなとか思った。
ちなみに下は同じくモンベルのバーサライトパンツ。これも割と新しく、いい仕事をしていた。
そういえば赤石岳の前後で百閒洞山の家の看板「トンカツが待っているよ!ファイト!」的なのがあった。
トンカツ食えるかなー・・。

赤石岳から下った後は確かガレガレの道。
それを越えると百閒洞山のテント場に到着した。
百閒洞山の家のテント場、ここは昨年、分水嶺トレイルなどで知り合った友人が亡くなった場所である。
それを聞いたとき、それがどんな場所なのかずっと気になっていた。
今回、ここに来れて良かった。
今朝、体調悪いながらも進んだのはここに来たかったこともある。
改めて、ご冥福をお祈りします。

百間洞山の家

テント場から5分くらい進むと百間洞山の家が見えてきた。
手前で雷が光ったかと思いきや、すぐに音がしてびっくりした。雷が近づいている。
逃げ込むように百間洞山の家へ。迷わず小屋泊とした。1泊2食で9000円。

食事は18時からと言われた。現在14時前。まだまだ時間がある。
寝床として案内された2階のD1へ向かうと、先客2名。10人の相部屋。2×5人の長方形。
そしてめっちゃ狭い・・!
一番奥の位置を陣取る。やばい、足を伸ばせない狭さ。先客2名の内、1名は対面におり、なんとなく居づらい。
ザックなどの大荷物を置くスペースが用意されていたので、ザックはそちらへ。

百閒洞山の家はなかなか面白い構造になっていた。
地下があるのだけど、建物が坂に対して作られているので、その地下は地中ってわけではなく、地表。
1階が坂の途中にあって、地下が坂の一番下にある感じ。

受付の時にハンガーを1個渡されていたので、2階の踊り場に雨具をかけて干した。
あと、ストックシェルターも干しておいた。

身体を拭いたりして荷物整理も終わったころ、身体が冷えているのか寒くなってきた。
雨に降られて、やはり体温下がっていたのかも。


食堂へ行き、売店でポテトチップスと魚肉ソーセージ的なもの、セルフサービスのコーヒーを購入。
あと、明日の行動食としてカロリーメイトを購入しておいた。
で、ポテトチップス(堅あげ、黒コショウ味)と魚肉ソーセージ的なものがやけに旨かった。旨すぎる。
塩分が体に染みる感じ。
だめだ、夕食が控えているのに、ここで豪遊してしまいそうだ!
なんとなく、カイジの45組を思い出した。漫画カイジのネタ。知らない人は流してください。


その後は、屋内を散歩したり、地図を見たり、昼寝したり。
いかんせん、携帯の電波が入らないから暇だった。
こんな暇なら、次の小屋まで行けば良かったかもとか思ったけど、次の日、聖平小屋まで進んでみて、やっぱやめておいて良かったと思った。

百間洞山の家 夕食

待ちに待った食事の時間。
食堂には8名ほどしか入れない。自分はどうやら4巡目の組のようだった。
カップルとソロ男性、そして自分の4人でテーブルを囲んだ。
みな寡黙な感じ。


食事は期待通りのトンカツ!やったぜ!!
そしてテーブルの中央にはカレー?みたいなものが入った小皿が置かれている。
なんだこれ、他の人が追加注文したものなのかな?
とりあえず、トンカツやらを食べた。
山小屋の夕食、これまで10回くらいは食べてきたけど、どこもご飯は食べ放題。これはかなり嬉しい。
サクッと2回くらいお替りした辺りで、やはり真ん中に置かれているカレーが気になった。
他の3人に聞いてみる。すると他の人も良く分かっていない様子。
なんだ、みんなで食べる用のカレーか、と理解した。
が、みんな遠慮しているのか、全然食べない。
しまいにはソロの男性は一切手を付けずに席を立った。

じゃあ・・ということでカレーを頂くことにした。
カップルはというと、女性はまだ1杯目の茶碗も空けることが出来ないのか、
男性から「〇〇ちゃん、食べれなかったら、無理せず残していいからね」とか言われている。
マジか。山に来て、そんなお腹空かないなんて!
そんなやりとりを横目に自分は食べ続けた。ひたすら食べ続けた。
こちとら行動し続けて、今や腹は4次元ポケット。
そしてついにカップルもカレーには手をつけずに席を立って行った。
カレーは自分だけのものとなった瞬間である。

山小屋の食堂では大抵、自分が最後となる。
言い渡されたタイムアップの時間ギリギリまで食事を楽しむからだ。
そうして食堂を後にして、地下にあるトイレへ移動。
階段を下って地下についた時に、ちょっと吐いてしまった。
流石に食べ過ぎたのかも。

百間洞山の家 IBIKI合唱

19時頃、狭い寝床に横になる。
気づけば最初は3人しかいなかったこの部屋も10人満室となっていた。
そしてこの日、徹夜になろうとは思いもしなかった。

10分だか、20分だか横になっていた時である。
突如としてそれは開演された。
「グーーーガーーーーー!!」
自分の隣の隣の男がイビキをかき始めたのである。
むろん、自分はこういう相部屋で寝る時には必ず耳栓をして寝るのであるが、その耳栓を通り越してその音はやってきた。

音楽プレーヤーのipodシャッフルで音楽を聴いてごまかして寝る作戦。
イビキの音量があまりにも大きいので、それに対抗する音楽の音量もかなり大きくしなければけなかった。
そんな状態で眠ることが出来るはずもなく。
今度は耳を枕に押し付けてイビキをシャットアウトする作戦。
が、やはり片耳は無防備、これもダメ。
あーダメだ。
というか、こんなにうるさいのだから、他の人も眠れていないのでは?
他の人が「おめーうるせえんだよ!」とか怒って、そのイビキ男を蹴飛ばすことを期待した。
他力本願である。
が、現実は違った。
むしろ、隣の男までイビキをかき始めた。
さらに、対面の大人しそうな男までイビキをかき始めた。
なんとなく、対面の男はイビキかかなそうな顔をしていたのに!
これで3人のイビキの合唱が始まった。ザッツオール
人間の耳の機能を壊したかった。
この悲惨な状況を活かして、イビキ完全シャットアウトの耳栓を開発し、起業しようとか考えていた。
眠らなくとも目をつぶっているだけでも疲れはとれる、そんなことをどこかで聞いたことがあるので、それを信じてひたすら耐える夜となった。